屋久島ガイドが教える縄文杉トレッキングに必要な持ち物&アドバイス【初心者向け】

屋久島といえば「縄文杉」と言われるほど有名ですが、行程は長く、登山に慣れていないかたはちょっと心配です。

ここでは縄文杉登山を成功させるために必要な持ち物や現地に住むガイドならではのアドバイスをご紹介いたします。


基本的には通常の登山装備と変わらないのですが、日本で一番雨が多く降る屋久島では雨対策がポイントです。

まず最初にご紹介するのは「登山三種の神器」とも呼ばれる「ザック」「レインウエア」「登山靴」。

快適・安全な登山を楽しむために必要な基本的な装備です。

もし、新しく購入するのであればこの3つの装備です。

ただし、安いものではありませんので、なるべく費用を抑えたいかたは登山用品のレンタルなどもありますので検討してみてください。

ザック(リュックサック)~ザックカバー内蔵がおすすめ

短時間であればどんなザックでも大丈夫なのですが、縄文杉コースのような長時間背負うことになるような場所では身体に合ったもの、ウエストベルトがあり身体に固定・荷物が揺れないように密着できるザックが良いです。

登山専用のザックは肩こりや腰痛、疲労となる原因を少しでも減らすことができます。

また、ポケットがあったり、通気性に優れた背面を使用したりと何かと使いやすく快適です。

日替えであれば20~30Lぐらいの容量。秋~冬の季節は防寒着が増えるので少し大きめが良いです。

「大は小をかねます」が、大きくなればなるほど重く、値段は高くなります。

雨の多い屋久島では「ザックカバー内蔵」のものが断然おすすめです。

急な雨にも素早く対応することができます。また、そのザック専用のザックカバーなのでザックによくフィットするように作られています。

ちなみにザックの中の物にも大きなビニール袋(大きなゴミ袋でも可)や小物はジップロックなどで防水しておくと良いでしょう

特に携帯電話はジップロックに入れておくか撮影もできる防水ケースに入れておくのが安心です。

屋久島はゲリラ豪雨のようなびっくりするような雨が降ることがあり、ザックカバーで防ぎきれいなこともよくあります。

レインウエア(雨具)~ポイントは「透湿性」「耐久性」

雨が多く、湿度が高い屋久島は防水透湿性素材のセパレートの物がおすすめです。

重要なのは「透湿性」と「耐久性」。

いわゆるどこでも売っている安価なビニール製の合羽は防水性はありますが、透湿性、耐久性がないのでNGです。

かいた汗を外に逃がすことができないので衣服が濡れたままになり、体温低下(低体温症)を引き起こしたり、耐久性がないのですぐに破れたりしてしまいます。


また、天気予報が晴れでも必ず持ち歩きましょう!

「山の天気は変わりやすい」と聞いたことがあると思いますが、屋久島の天気は本当に変わりやすく麓と山ではまったく天気が違います。泊っているお宿の周りが晴れていても山に行くと雨が降っていることはよくある話です。


また、雨が降らなくても万が一遭難した時・・・肌寒いときには防寒着としても機能する重要なアイテムです。

登山靴(トレッキングシューズ)~悪天候や悪路にも対応

防水、透湿性のあるトレッキングシューズは多少の悪天候や悪路にも対応しながら快適に登山を楽しむことができます。スニーカーは中が濡れやすく、ソールが滑りやすいのでおすすめしません。

屋久島の登山道は水たまりなど湿ったところが多く、濡れやすく汚れやすいです。

そのため、荷物になりますがトレッキングシューズのほかにもう一足履物(登山の後に履き替えたり、移動や麓の観光の時に履いたりなど)があると快適です。


縄文杉・白谷雲水峡・ヤクスギランドなどのコースではソールが柔らかく履きやすいトレッキングシューズがおすすめです。初心者の方でも違和感なく履くことができます。

※ここでは宮之浦岳などの高山や冬山は想定していませんのでご注意ください。

これから山登りを趣味にしたい方や一年中(冬山を含む)山を楽しみたい方はお住いの近くのアウトドアショップの店員さんに相談してみてください。季節や山の形態によって適した登山靴は変わります。


参考情報:モンベルのソール(トレールグリッパー)は雨の日でも非常にグリップ力がありおすすめです。具体的な商品名としては「ラップランドストライダー」「ワオナブーツ」「ティトンブーツ」など。

これ以上のクラスの登山靴だと足首周りやソールが固く、初心者の方には向いていないかもしれません。また、新しく購入した場合も履きならしをしていないと靴擦れの原因となります。


すでに登山靴を持っている人は「経年劣化」によるソールの剥がれに気をつけてください毎年見かけるぐらいソールの剥がれる頻度は高いです。

使用していてもしていなくても時間とともにソールの接着剤が劣化して剥がれていきますので本番前にウォーキングで使用したり、ソールをよく確認してみてください。

ついでに速乾性(汗を蒸発させる)と中厚手(クッションの役割)の靴下(ソックス)もあると良いです。長時間登山靴を履いていると中はかなり蒸れてきます。

ストック~膝や腰への衝撃軽減、転倒防止の役割

膝や腰への衝撃軽減、転倒防止の役割を担います。

ストック(杖)と言えばお年寄りが利用するイメージがあるかもしれませんが、意外と重宝します。

ガイドの私も愛用していますが、好みは分かれ体力に自信のある方は必ず必要なものではありません。

ただし、長丁場の縄文杉コースでは膝が笑ってしまう方が結構います。山登りでは「登り」より「下り」の方が足への衝撃が大きく負担が大きくなります。

目安として普段運動をしていない方、40代以上、体重のある方はあったほうが良いかもしれません。

何かと重宝する~折りたたみ傘

屋久島では何かと重宝する折りたたみ傘。

何度も言いますが屋久島は本当に雨の多いところです。雨と言ってもずっと降り続く雨もあればにわか雨もあります。

その度にレインウエアを着たり脱いだりするのは面倒なところ。

また、屋久島は湿度も非常に高く、梅雨時などはレインウエアを着て歩くのはとても不快です。

その為、縄文杉コースの半分以上を占めるトロッコ道ではレインウエアを着ずに傘を差しながら歩くのが快適です。

ただし、体力に合わせ登山道では安全を考えレインウエアを着用することをおすすめします。

(ガイドは慣れているので登山道でも傘をさしていたりもしますが許してください・・・笑)

また、縄文杉コースには雨宿りできる東屋が多くありません。その為、雨の際にお弁当を食べるのも一苦労。傘を差しながらお弁当を食べるのはよくある光景です。

救急用具(常備薬)~万が一の備え①

万が一に備え救急用具も持参しましょう。

酔い止め薬(屋久島への交通手段:小型の飛行機、フェリー屋久島2、高速船や登山口に向かう登山バスなどは天候によっては非常に揺れます)、胃腸薬、絆創膏(通常のサイズと大きめのサイズもあると良いです)、鎮痛剤(万が一ケガをした時に)、湿布(登山後シップは必需品かもしれません)、常備薬など普段使い慣れているもの。

濡れると困るのでジップロックなどの防水の袋に入れておくと良いです。また、咄嗟の時にすぐに分かるように目立つ袋(他の人も分かるように)に入れておくのもおすすめです。

ヘッドランプまたは懐中電灯~万が一の備え②

必ず持ってきてください。縄文杉コースは往復10時間。もし足を痛めたり、体力がない方は明るいうちに帰ってこられない場合もあります。そんな時には明かりがあると無いのでは大違いです。


本来、両手が空いて使えるヘッドランプが良いですが、持っていない人は100均で売っているライトでもOKです。まずは持ち歩く癖をつけましょう。

手ぬぐいまたはタオル

手ぬぐいが一番おすすめです。普通のタオルでも良いのですが、一度濡れてしまうとなかなか乾きませんし、すごく重たいです。

一方、手ぬぐいは乾きやすく、いろいろな用途に使用することができます。

携帯トイレ、トイレットペーパー、ビニール袋

携帯トイレはほぼ使いませんがお守り代わり。もしもの時に無いと困ります。

縄文杉コースには「登山口」「トロッコ道の途中にバイオトイレ」「トロッコ道の終点」「縄文杉より10分ほど先の高塚小屋」にトイレがあります。

多くの登山者が訪れる場所なのでトイレは整備されている方なのですが、悪天候などによる停電の際には使用できなくなることもあります。また、ゴールデンウイークなどの混雑期(縄文杉コースの混雑について)にはトイレに30分ほど並ぶこともあります。

携帯トイレについてはこちら(環境省:携帯トイレの利用について)


トイレットペーパーも通常備わっていますが、万が一に備え持参すると良いです。普通のティッシュペーパーは生分解しずらいのでNG。


ビニール袋も何かと役に立ちます。

屋久島の山にはあえてゴミ箱はありませんのでもって変えるのがマナーとなっています。

地図、コンパス、パンフレット、登山用地図アプリなど~遭難しないことはもちろんペース配分や現在地の確認に

忘れがちなのが地図やコンパスなど。

縄文杉コースや白谷雲水峡、ヤクスギランドではほぼ道に迷うことがないと思いますが(それでも遭難者はいます)ぜひ持参していただきたいところです。

今の時代であれば、スマートフォンで地図アプリ(例:山と高原地図、YAMAP、ヤマレコ、ジオグラフィカなど)を利用するのもおすすめです。

ちなみに屋久島の山域ではほとんど携帯電話の電波が届かないので「機内モード」にして電池を節約しておきましょう。


主な用途は遭難しないためですが現在地を確認してペース配分の目安にすることができます。

地図に載っているような場所では休憩の際に必ず「現在地」と「時間」を確認しておきましょう。

自分の歩くペースがコースタイムよりも速いのか遅いのか。早すぎる場合には、せっかくの屋久島もう少し周りの景色を楽しんでもよいかもしれません。遅い場合にはリタイヤも考え、行動の計画を練り直してください。

行動食・おやつ(非常食も兼ねる)~登山の楽しみ

甘い糖分だけでなく、熱中症対策に塩分のある物もあると良いです。

登山を頑張っている自分へのご褒美にちょっと良いおやつを用意するのもおすすめです。モチベーションが上がります。

また、万が一の際に非常食にもなるので多めに用意しておきましょう。

飲み物

屋久島は驚くほど水場の多いところです。

大概どこでも飲むことができるのですが、各コースに汲みやすいようにパイプをさしてある水場があります。発見したらこまめに汲んでおきましょう。


熱中症対策の為、スポーツ飲料がおすすめです。

番外編:冬装備として必要なゴムスパイクやチェーンスパイク

今年度の年末年始は積雪による遭難事故が早くも二件発生してしまいました。

屋久島は南に島のイメージが強いかもしれませんが、九州で一番高い山があるほど標高が高く、山では普通に雪が積もります。

特に縄文杉コースは木道が多く、滑りやすく、ゴムスパイクやチェーンスパイクなどが必要となってきます。

降った雪が固まってくるとアイゼンも必要となってきますが、レベルの高い話になりますので初心者の方はそのような時は潔くあきらめてください。

無理をせず白谷雲水峡などにコースを変更するのが幸せです。白谷雲水峡は標高が低く、縄文杉コースほど積雪の影響は受けづらいです。